都の創業以来、守り続けてきた手織りの伝統が息づく、西陣織の工房。
ジャガード機の「かちゃこんかちゃこん」という音色が響くこの工房では、やさしい機織りのリズムにあわせて、まるで時代を遡ったかのようなゆっくりとした空気が流れています。
機械化が進み、自動力織機が全盛の時代に、あえて手作業で一越一越糸を織り込んでいく。
生産性や効率といった物差しでは測れない、時間をかけてつくった、手織りでしか生み出せない魅力があります。
1929年(昭和4年)に建てられたこの京町家では、住居兼仕事場として、男物羽織の裏地(羽裏)を手機で織られていたそうです。
まさに「職人の街 西陣」らしく、職住一体の建物として時を刻んでまいりました。
2011年にリノベーションをおこない、仕事場部分を「手織り工房」に、住居部分「1日1組限定の西陣織の宿」として、新たに生まれ変わりました。
手織りの特徴として、自動力織機とは違い、緯糸で織り込んでいく色数に制限がないという点があります。
一見すると分かりづらい細かな違いの色糸を使い分けることによって、ぼかしなどの深い柄表現が可能となり、美しい西陣織が出来あがっていきます。当工房では、糸繰り専門の職人がおり、手機で使う様々な色糸を必要な分だけ管に巻きかえて、手織り職人の現場を支えています。
伝統工芸士に認定された腕利きの職人が使う様々な道具は、長年使い込まれてきた独特の美しさがあり、織り上っていく帯に不思議な魅力を加えてくれています。
職人の感性や想いが織り込まれた手織りの帯は、帯を結ぶ方をやさしく包み込む、そんな力があると私たちは信じています。
工房見学
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